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ありがとう、をあなたに

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ありがとう、をあなたに

 眠れない夜は中庭に出る。それが定番になってしまった。


 そして……


 今日は眠れない夜だ。
 私は中庭へと向かった。


 ☆★☆


「お前か。また眠れんのか? やはり、一丁前に悩みでもあるのか?」

 中庭には先客がいた。その先客から、嫌味ったらしい台詞を浴びせられる。
 アレックスだ。優雅に夜空を眺めながら、煙草を吹かしている。
 こいつの嫌味ったらしい物言いは、今に始まったことじゃない。そのことについては、軽く聞き流してあげた。

「ううん、今日はちょっと昼寝し過ぎちゃってさ」

「……これ以上はないという、実にくだらん理由だな。幸せな奴だ」

「うっさい! あーもー、あんたってほんっとヤな奴! あっち行ってよ!」

「後から来た分際で、戯けたことを抜かすな。お前こそどこかに行ってしまえ」

 アレックスは私に視線を向けることなく応酬し、吸い終えた煙草を銀色の携帯灰皿に入れようとする。


 カシャン……!


 微かに何かが外れるような音が響いた。

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