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秋のボート

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秋のボート

ゆらゆらと体が揺れている。

なぜなら私はボートに乗っているから。


湖畔に映り込む黄色の山々も柔くその体をくゆらせていた。


風は右手から髪を撫でる程度に吹いており、空気は冷たく心地よい。


私は湖を漂っている。


海でも川でもないとても穏やかな、しかしながらさほど広くもないそこにぷかぷかと浮かんでいるに過ぎない。


太陽が昇り、水面(みなも)が輝きを持っても、私はひたすらにささやかな揺れに身を委ねている。


人々が水を掻いて楽しげに通りすぎていく。

それは家族連れであったり、恋人同士であったり、或いは私のように一人であったり。


そうやって太陽は真上に昇り、いつしか傾いて昇ってきた山とは反対の山あいに身を落としていく。


肌寒さを感じても、私はまだボートの上で座っている。


山の夜は暗く、星がその分眩い。

だから、私はゆらゆらと揺れるそこで空を見上げるのだ。

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秋のボート

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