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その健やかなる時も、病める時も。

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その健やかなる時も、病める時も。

私は榊真緒(さかきまお)、39歳。
夫は榊大介(さかきだいすけ)、40歳。
私たちは夫婦だ。
そして、私の間には2歳半の男の子が1人いる。

私達の馴れ初めは10年前の夏の終わり。共通の友人の紹介だった。

当時、私は29歳、大介は30歳。
お互いに伴侶を探しているタイミングと性格が合った。

交際約一年で結婚したが、なかなか子宝に恵まれず、ならば老後の資金にと共に働き貯金を貯めていた矢先、待望の第一子を授かった。

夏の暑い日の朝に産まれたのは、
玉のように可愛い男の子だった。

大介は自分に似ている我が子を大地と名付け、それは手放して喜んでくれた。

私は大学を卒業してから新卒として就職していた仕事を続けたくて、育児休業を選び、大地が一歳半の時、職場復帰した。今は都内の駅ビルにある書店で働く時短勤務の社員だ。

夫は都内の老舗ホテルが経営する結婚式場で働いている。宴会場を取り仕切る係長だ。

私達は共働きをしながら、大地を自宅近くの保育園に預けて、私が仕事復帰した月から今度は子供の未来の為に貯金を始めた。

大地が20歳になったら、その通帳を渡すと決めて、二人で銀行に行き、開設した息子名義の積み立て口座に、毎月二人のお給料から1万5000円天引きして、3万振り込まれるようにしていた。

貯蓄額が増える度、私達は同じように重みを増してゆく我が子を抱き上げ、頬ずりしながら語り合った。

〈近くにいいコーチのいるサッカースクールがあるんだよ。2歳から出来るから今度体験してきたら?〉

〈英会話をやらせよう。ちょっと遠いけど、インターナショナルスクールの経営する英会話教室があるんだよ〉

とか、大介は大地にいろんな期待を寄せて、今夜も楽しそうに息子の話をつまみに晩酌をしている。

そんな大介を前に私はさっきからいつも大好きなはずのハイボールを飲めないでいた。

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