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瓦礫に埋もれた生存者

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瓦礫に埋もれた生存者

 笹本は冷たい夜空に白い息を吐いた。
 建物から出てすぐにスカートの隙間から入り込む冷気に、思わず自身を抱きしめて身震いする。

「失敗した。ズボンで来ればよかった」
 高校指定のスカートのまま来た愚かさに、自己嫌悪を覚える。
「ほんと、要領悪いなぁ……」
 良い大学に入ろうと必死に予備校で勉強しているが、その授業内容についていけなくなってきている。
 勉強が好きでないから覚えが悪いのか。そんな風に落ち込んでも、他に取り柄と呼べるものはない。

 クリスマス前の浮かれた恋人たちと目を合わせないようにして、家路を急ぐ。電灯の装飾が施された並木道の端を歩く。ただ歩いているだけなのに、なんだか息が詰まる。
 ーー私はこの世界にいるべき人間じゃないんだ。もっと別の世界で生きてみたかった……。

 駅の中にある、地下へと続く階段を下りると、銀縁のメガネが薄っすらと曇った。
 いったんメガネを外そうと指をかけた時ーー笹本の世界は暗転した。

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