/ 20ページ

ある囚人の手紙

(1/2ページ)

ある囚人の手紙

気まぐれに、筆をとってみる事にした。いままでにはない、新しい行動だ。



19××年1月28日 、グリッゲン警察署、拘置所内の居室にて。
ロザリック=クローが記す。

エイドリアン=グレイヴ警部様へ

敬意を表して。

始めに。

この手紙は瑣末です。戯れです。あるいは、暇つぶし、と言っていいかもしれません。

拘置所に入って以来、弁護士の先生が文字を教えて下さったので、何か書かなければ、という切迫した気持ちにさせられました。それを消化するために、私は手紙という手段を選び、こうして筆を進めているわけなのですが、ではなぜグレイヴ警部に手紙を書いているのだろう、とお思いでしょう。

実はそれほど詳しい理由はないのです。貴方が私の犯罪について、一番知りたがっていたな、という事をたまたま思い出したので。

実に簡単な理由でしょう?

笑い出しそうですか?人間って、すぐ笑ったり泣いたりしますものね。

不条理な生き物です、本当に。

なんだか酷く愉快な気分になってきました。

いえ、やはりそうではないのかも。私は今まで、愉快だな、と感じたことはないので、よく分かりません。

ああ、吐きそうだ。

もうまた次にしますね。

いや、こんな事を書いたのは馬鹿げていました。人間はいつか死ぬ。

私が言いたいのはそれだけです。

ノースランドの怪物より

/ 20ページ

ある囚人の手紙

(2/2ページ)

みんなが送ったスター数

32

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

新着ピックアップ

急上昇ランキング|ホラー