/ 12ページ

幸福症候群

(1/10ページ)

幸福症候群

「ご予約の山田様どうぞ。」

助手の遠藤さんに呼ばれて常連客の山田さんが入ってきた。

あ、一応医者なので客というより患者と言った方がよいかな?

「お久しぶりですね山田さん。どうされました?」

私は気さくな医者らしく話しかけた。

山田は(せわ)しなく辺りを見回すと爪を噛みながら背もたれのない丸椅子に座った。

「どうもこうもない、またでたんやアレが…。」

「アレというと……震えですか?」

「せや!震え以外ないやろ!まったく…。」

山田は吐き捨てる様にそういうとまた爪を噛んだ。

もう50にもなる小太りの男が小動物の様に体を揺すりながら爪を噛む姿は、もしも自分の患者でなければ滑稽の一言で済ませられるのだが、そうも行かず私はできるだけ落ち着かせる口調で話しかけた。

「それで…今回はどんな状況でした?」

「ん?状況?状況を聞いてどうするんや?」

「…いえ、一応担当医として状況を知っておかないととおもいまして…。」

「は!知ってどうする?どうせだす薬は変わらんのやろ?だったらはよ出してや!」

取り付く島もない。

私は首を降って言った。

「それは聞いてみないとわかりませんよ。」

/ 12ページ

幸福症候群

(2/10ページ)

みんなが送ったスター数

148

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

新着ピックアップ

急上昇ランキング|SF