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幼女神

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幼女神


 夕闇の空を、一筋の尾を引いて流れる星が一つ。

「おや? 今日もまた一人。異世界に飛ばされましたか」

 白装束を着た男がポツリと呟く。それを聞くともなしに聞いていた少年が答える。

「最近は、異世界への転移や転生が人気になりましたねぇ」

 白装束の男が、少年の言葉に振り向き答えた。

「そうですねぇ。現在の地上は、ありとあらゆる場所に未知というものが、なくなっていしまったことが原因でしょうかねぇ」

 白装束の男の言葉に、少年は懐疑そうに答える。

「それはどうでしょう?」
「人間のフロンティアスピリッツが異世界を求めているのでしょうか……」

 白装束の男が、さも羨ましそうに下界の人間を見つめる。

 少年は白装束の男の言葉に沈黙する。内心では「そんな高尚な答えではないですよ。主様」とだけ答えた。

 そんな主従のやり取りを他所に、地球の日本国からまた一人、異世界へと旅立とうとしている者がいた。

・・・・・・

「え! ここどこ?」

 男が意識を取り戻した時、そこは辺り一面まっ白な空間だった。そのことから男は瞬時に理解する。

「異世界転移きましたわぁああああ!」

    

 突然男は奇声を上げた。するとそこに「ひぃ」という、か細い悲鳴が上がった。男が振り返るとそこには一人の神々しい幼女が立っていた。そんな幼女を見て男がまた叫ぶ。

「幼女神キター!」

 男のさらなる雄叫びに幼女の目に涙が溢れ始める。その様子に気づいた男は慌てて、にじり寄った。

「怖くないよぉ。怖くないですよぉ。だから泣かないでねぇ」

 慰めようと、じりじりとにじり寄るその姿が更にキモさを増している。幼女の目にあふれていた涙が、ついにポロポロと零れ始めた。そして、そのぷっくりとした唇からも言葉がこぼれた。

「ふぇぇ。キモいですぅ」

 男は幼女の言葉に傷つきヨロヨロと倒れこんだ。その仕草もやはり気持ち悪かったので幼女は本格的に泣き出したのだった。


・・・・・


「落ち着きましたか?」

 男が幼女から適度に距離を取りつつ声を掛けた。

「はいぃ。もぅ大丈夫ですぅ。でもぉそれ以上、近づかないでくださいぃ」

 幼女の容赦のない言葉。しかし男は今度は耐えた。リアクションがキモいと言われて泣かれたばかりなのだ。同じ轍を踏むわけには行かない。そんな男の心情など知る由もない幼女が話し始めた。

「はいぃ。それでわぁさっさと要件を済ませますよおぅ」

 そう言って幼女は男に質問を始めた。

「アナタはぁ異世界へぇ行きたいですかぁ?」

 男は、その質問を待ってましたと言わんばかりに手を挙げて答えた。

    

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