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魂はずっと。
「おい、ボッキオ」
振り返ると同じクラスの工藤君が飛びついてきた。僕はよろめいて倒れてしまって、いってえ、と工藤君は大げさに叫んだ。
「こんなので倒れんなよ」
「ごめん……」
「強いのはチンポだけか」
工藤君が大声でそう言うから、周りにいた女子たちがクスクスと笑っていた。
「……いや、別に強くないから」
工藤君は僕の言うことなんて聞かずにさっさとサッカー部の仲間たちと何処かへ行ってしまった。
工藤君は多分、悪い人ではない。僕なんかに話し掛けてくるし、体を使って体当たりしてくるからだ。
工藤君みたいなことをされて、嫌じゃないと言えば嘘になるけど、本当に僕のことが嫌いで嫌がらせをするなら、きっとみんな、こうするからだ。
僕は今日も、日課のように、下駄箱の中に撒き散らされたゴミをきれいに払って、上履きから靴に履き替えた。
よく漫画とかだと画鋲が入っていたりするけど、そういう危ない系は入っていたことがない。やっている側も、血が出るのは流石に怖いと思うのだろうか。僕からしたらその基準がよく分からない。
誰が犯人かなんて別に知りたくもない。知ったところで、僕には何もできないからだ。
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