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魔法界からの使者

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魔法界からの使者

 まず人間であるはずのぼくがなぜ魔法学校で勉強する羽目になったのか、という説明が先だ。


 中学三年の冬、世間がクリスマスに浮かれる中、ぼくら受験生はきたるべき高校受験に向けて冬季講習をこなしていた。

 いつもどおり夜九時すぎまで塾に残り、真っ暗になった帰路を自転車のライトを頼りに帰っていると、凍結した路面でスリップした車が正面から突っ込んできた。
 そのときの映像は今でも鮮明に記憶している。
 運転手の女性の悲壮な表情や、車のフロント部分と自転車の前輪がぶつかる音。身体が宙に浮き、ボンネットで跳ねたあと、頭からフロントガラスに突っ込む衝撃。

 気づいたのは、助手席部分に逆立ちしたまま突き刺さったぼくが救助隊に助けられ、病院に救急搬送された後だった。

 意識を取り戻したあと、むせび泣く母親の隣で主治医や警察からいくつか質問を受けた。ぼくは、事故の原因がスリップなら誰にも瑕疵がないじゃないかと思ったので警察には運転手の女性を罰しないでほしいと伝えた。

 幸運にも車はぼくをはねた後、電柱にぶつかり大破したにも関わらず、その被害者であるぼくも女性も傷一つ負っていなかった。互いに、身体のどこにも損傷がなく、強いてあげるなら、こちらは前日の晩に深爪した右足の親指が痛むくらいだった。
 
 その信じられない奇跡に父と母が胸を撫でおろしたのもつかの間、退院の前日に訪れた最後の見舞客は、ぼくの人生を大きく変えてしまう世界からの使者だった。

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