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恨みは骨の髄まで・・・

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恨みは骨の髄まで・・・

 暗闇の中、大声で叫び続ける。
「俺じゃない!犯人は俺ではありません。兄上!!」
 どれだけ叫んでも、その声は届けたい相手、兄には届かない。ただ虚しく、幽閉されている寺の本堂に響くばかり。
「やはり、俺が邪魔なんですね」
 そして思う。彼にとって自分はお荷物なのだと。この事件を機に、自分を切り捨てるつもりなのだと。
 そもそも、この俺だって、あんな大事件がなければ、一生坊主として生きていたはずだ。政治の世界とは無縁なはずだった。それなのに、父は無理矢理還俗させ、兄の補佐へと押し上げた。
「憎いか」
「憎い」
 どこから聴こえた声か解らないものに、思わず答えていた。そしてぞくりとする。自分は今、何より大切だった兄を憎いと思ったのか。
「ならば、お前に力を貸してやろう」
「だ、誰だ?」
 どこからか聴こえる声に、慄く。ここは幽閉場所。誰一人入って来れるはずがない。それどころか、警備の者さえ、自分には声を掛けてこない。それなのに――
 そっと、振り向いた。そこはもちろん、真っ暗で何もない。いや、おそらく本尊がそこにあるだろうか。しかし、彼の目には何も捉えていない。
「ならば、その血の力を貸せ」
「――」「俺は、お前だ」
「うわああああっ」
 その悲鳴を最後に、その日の記憶は途絶えた。しかし、身体を襲った違和感は、確実に彼の中に残っていたのだった。





「おい。ここはお前の部屋じゃないぞ」
「えっ」

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