/ 131ページ

第一章 始まり

(1/38ページ)

第一章 始まり

―00― 夢でも君に逢えるなら僕はなんでもするよ



「んじゃあ採用です」
「へ?」
「採用って言ってんのよ。嬉しいでしょ?」
「だって面接来てからまだ一分も経ってないですよ」
「時間勿体ないでしょ?採用されたいでしょ?」
「だって僕ニートですよ?」
「ニートいいじゃない。ニートなんて宝の山よ。直ぐにでも働けるのでしょ?」
「あ、はい」
「ほら!だからニートは宝なのよ。前職のシコリとか無いから気楽でしょ?企業はこの人手不足で会社潰れるくらい困っているのよ」
「そうなんですか?」
「ニートだからって二の足踏んで躊躇してるの本人だけ。企業はニートこそ働きに来てほしいの。レッツチャレンジよ」
「ありがたい言葉っす」
「ささ、これ持ってね。現場で使い方教えるから。簡単だからね超簡単」
「どうするんですかこれ?」
「これで戦うに決まってるじゃない」
「戦う!誰とですか?」
「敵に決まってるじゃない。貴方はもう半人前の勇者なのよ。一人前の勇者になって年収一千万貰ってどうしたいの?」
「えっと、彼女欲しいです」
「あなた、彼女いたことないの?」
「は、はぁ」
「じゃあ未経験なのね?勇者になるには経験の一つや二つしとかないとね。どれ私が最初に教えてあげるわ。ヨイショっと」
「え?あの、ちょ、ちょっと・・やめ・・」
「ふーーー」

 ガバッ!!

 (うな)されていたのか俺は、目が覚めたら汗だくだった。

 今日は大事な面接日。シャワー浴びて行かなければならないな。

 スマホの充電が切れていて目覚ましが鳴らず予定より一時間遅れて目が覚めている事に気づくのはシャワーを終えて出てきてからだった。

 誰にでも人生の転換期があるとすれば、俺の転換期は今日になる。

 今日俺は新しい一歩を踏み出し、ニートを卒業する。

 正夢になるかどうかは置いといて。

 
─1─   ニート脱出



「んじゃあ採用です」
「へ?」

 言葉の意味と喜びを理解するのに、俺は幾らかの時間が必要だった。

 廃れた商店街の裏道に建つ、これまた廃れた雑居ビル。

 駐車場になってる一階部分の端にある入り口用の階段を上って二階の部屋で俺はこの会社の採用試験を受けていた。


 自ら望んでここに来て、望んだ返事を貰ったのに間の抜けた言葉を発したのは、俺に2年というニートの生活の引け目があるからかもしれない。

 そう思ったが、それにしてもここに来て5分位で採用と言われたら例えニートでなくても驚きの返事をしてしまうのではないか。

 ただ、普通の就活生や転職組なら驚いても間の抜けた言葉は発してないかもしれない。

 2年間のニート生活で社会から遠ざかっていた甘さゆえに無意識に出たのだろう。

「とりあえず採用だからリラックスしてよ。コーヒーか紅茶どっちがいい?」
 
どちらも好きでどちらでも良かったのだが、選択を求められたら決断をするのが俺のマイルール。なので俺は紅茶を選択した。

「紅茶切れてるからコーヒーでいい?」

    

/ 131ページ

第一章 始まり

(2/38ページ)

みんなが送ったスター数

845

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

新着ピックアップ

急上昇ランキング|ファンタジー