チョコアレルギーの俺

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チョコアレルギーの俺

「……。」 どこからどう見てもチョコレートのそれを眺めながら、俺は口に運ぶのを躊躇していた。 食べるか、否か。くれた相手の顔を思い浮かべる。開かれた包み紙と箱。中央に堂々と鎮座するソレは煌々と輝いてさえ見える。そう、あとはその茶色い物体を口に運ぶだけ。運ぶだけだ。だがどうだ。コレを口に含めば俺はもしかすると死ぬかも知れない。生死をさまよう可能性がある。 これは、もしかすると、幼なじみのあいつからの何かの嫌がらせか? 渡してくれた瞬間を思い起こす。幼なじみのあの女とは、もう十八年のつきあいだ。そんなあいつと初めてキスしたのがつい先日。男みたいな女だとずっと思ってたがとうとうあいつも女になった。女みたいなあいつと一緒に居るのは正直ちょっと居心地が悪い。昔は俺をからかって馬鹿にして、殴られ蹴られもした仲だ。そんなあいつがよこしたチョコ。このチョコに込められてるのは本当に愛なのか少々疑わしい。 ゴクリ、唾を飲み込む。 ゆっくりと手を伸ばし、茶色い物体をつついてみた。爪先で揺らしてみるが大丈夫だ。     
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