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血と声

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血と声

「10時には行くから」


佐藤良光さんは昨日電話で友達にそう告げたが、現在がその10時。
彼はまだ友達の家にはほど遠い道を雨の中、車で走っていた。

一応連絡入れるか・・・

携帯を使う時は車を停める習慣が身に付いていた佐藤さんは、車を近くに停車した。
そして、携帯を取り出したのだが『圏外』。
場所的にあり得ないと思った彼は諦めず、効果のほどは分からないが車の窓を全開にし、アンテナを伸ばした。

お、行ける。

3本あるアンテナ表示の1本が立ち、佐藤さんは番号を押した。
しかし、なかなかコール音に切り替わらなかった。

行け、行け・・・

必死に念じていたその時、一台のバイクが佐藤さんの車のすれすれを通り過ぎた。
と、水しぶきが跳ね、いつの間にか身を乗り出すようにしていた彼の顔面を直撃した。

佐藤さんは頬を流れ落ちる水を無意識にTシャツの裾で拭った。
が、そこで初めて液体が暖かく、どこかぬるぬるとしていたことに気付き、はっとした。

オイルか何かだったのか

嫌な予感を感じながらTシャツを見ると、そこに黒々とした染みがあった。
佐藤さんはガッカリしながらも地図を見るために備え付けたライトで『染み』を照らした。
臭いを嗅ごうとすると、持っていた携帯が口に当たった。しかもそれにも液体が付着していたらしく、唇をなめると同時に見知った味が口の中に広がった。

血だ

その時、着信音も鳴っていないのに携帯から声が聞こえてきた。

・・・ 助けて

佐藤さんは携帯を投げ捨て、車を急発進させた。
だが、恐怖はそれだけでは終わらなかった。

走り出した瞬間、佐藤さんは前方の道脇に先程水を、いや血を跳ね上げたバイクが停車していることに気付いたのだ。
そして、バイクにまたがった男はヘルメット越しではあったが彼を振り返るようにしてじっと見つめていたのである。

何も起きないでくれ

祈るような気持ちで脇をすり抜けた瞬間、男とバイクが見えない巨大な石に押し潰されるようにぐしゃりとひしゃげたという。



※ひしゃげる→つぶれる。曲がる。のような意
・・・多分※

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