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空は暗いもんだけれど

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空は暗いもんだけれど

なあなあ、あんた、どこ往くんだい。


俺はそうやって彼女を呼び止めた。

「あら、あたし仕事に行くの、ごめんね」

俺は言葉が出なかった、彼女が微笑んだ時、そこには天使が居た。


次に見掛けたのは翌日だった。
前と同じメトロへの階段の横で。

「なあ」

「あら、また貴方なの、ハンサムだから覚えてたわ」

嬉しかった。

彼女は時間に余裕があると言って、俺と近所をぷらぷらした。

歩きながら俺と、彼女についての事を2、3話しただけだったが、それでも俺は浮足立っていた。


「ジェイムズ、あなたいつもあそこに居るのね、そしたらまた明日もきっと会えるわ」


それから毎日のように、彼女の新しい仕事の話や、俺の日常についてとりとめもない話をした。

彼女の家にも招待された。

ディナーを馳走になり、ミルクを飲み干した俺の口に
彼女はキスをした


俺は正しく有頂天になった

その晩は彼女と寝た。

夢かと思う程暖かかった。


そんな日が続いたある日。
彼女は髪の長い男と一緒に
いつもの場所に現れた。

二人は恋人のキスを交わした。
俺はただ見ていた。

彼女は俺と目が合うと微笑んで、メトロに降りて行った。




帰ろう。
俺は現実に引き戻された。

あの天使、彼女と俺は一緒にはなれない。


もう着け変わらない首輪。
刻まれた名前はジェイムズ。

俺はいつもの草むらに横になり
首輪をぺろと舐め
「なあ」

とだけ月に告げ
眠りに落ちた。

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