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アガパンサス

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アガパンサス

恋の訪れ

ピピピピ…
今日は日曜日。あいにくの雨。
まぁ、俺には関係ないけど。折角の休日だし目覚ましの音を消して、また寝る。


毎日毎日、仕事ばかり。いつの間にか人に恋することを忘れ、今では仕事が恋人みたいなもんだ。
出会いはある。だからといって恋人が見つかるかと言えば見つからない。
自分自身、そこまで必死に彼女を作りたいわけではない。けど、こんな憂鬱な雨の日ぐらいは可愛い彼女に優しく起こされたいと思ってしまった。


俺の顔は自分で言うのも何だが、なかなか男前な顔をしてると思う。新入社員の女の子には、憧れの先輩と影で言われてるらしい。
そんなこと言われるのも今のうちか…。あっという間に、ただの中年男性の仲間入り。そうしたら、その女の子たちは、新入社員の若くて爽やかな男の噂をしだすに違いない。


12時がすぎ、雨が小降りになってきた。俺はお腹が空いたのでコンビニへ行くことにした。
髭っつらにスウェット。片手には紺色でよれよれな折り目がついた折り畳み傘。ダメサラリーマンだな(笑)

傘立てに傘をさす。傘立ての横にはアジサイが咲いている。そんなのには目もくれず、コンビニへ入る。
ポテトサラダにパン。それとも、和風味サラダにハンバーグ弁当。どっちがいいかな…。
少し悩んだ結果、ハンバーグ弁当と和風味サラダを手にレジへと向かう。
「いらっしゃいませ。」ピッピッ
「814円になります。お弁当は温めますか?」
「あ、お願いします。」今日はじめて話したから、少しかすれた声だった。
「96円のおつりになります。少しお待ちください。」
電子レンジの回る音と雨の音だけが聞こえる。


「今日はスーツじゃないんですね。」
レジをしてくれた女の子が話しかけてきた。このコンビニは普段使わない。出勤の時は駅前のコンビニを使うからだ。頭にハテナが浮かんでいる俺の顔を見て、女の子が顔を真っ赤にして慌てて否定した。
「私、ストーカーじゃないです!」

…チンッ

数秒の間が流れ、俺はだんだん笑いが込み上げてきた。
「あ…あの…。」
「ククッ、俺のこと知ってるの?」
女の子は顔を赤らめて言った。
「私、朝番が多いんです。毎朝、スーツをピシッと決めて爽快に歩く姿を見て覚えてしまいました。」
俺、そんなに爽快に歩いていただろうか?
「そうなんだ。じゃあ、俺のこんな姿見てビックリしたでしょ?」
寝癖のたっている所を掻きながら苦笑いをする。

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