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Chapter.0:追われて

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Chapter.0:追われて

現在、少年は戦っていた。
しかし、別に血みどろの死闘を繰り広げているわけではない。
少年が戦っているものは、17年間の歳月に渡って築き上げてきた理性と常識だ。
 
「グオオォォォ!!」
 
大地を激震させるような雄叫びと共に、目前に炎が降り注ぐ。
 
「全く、なんなんだよコイツは!?」
 
信じられない…
そんな思いで少年の内心は一杯になっていた。
クルリと振り返り、襲いかかってくる脅威をその目に焼き付ける。
 
その瞳に映るのは、びっしりと赤いウロコで覆われた山のような体。目は蛇のように縦に裂け、その口元からは火炎の息がこぼれ落ちている。
背中についた巨大な翼にも同じように炎が纏われ、非力な少年を燃やしつくさんとしてはためいている。
 
そう、今少年が必死になって戦っている常識を脅かす存在とは、ドラゴンだった。
それもそのはずである。
今まで17年、世の中を見てきたが、ドラゴンなんていうものを見た事はなかった。仮にあったとしてもせいぜいゲームの中やカードくらいだ。
それがどういう訳だか、今、ここに、実物のドラゴンがいる。
そして、ドラゴンを見た瞬間、少年が培ってきた常識というものは脆くも音を立てて崩れさった。しかもどういうわけだかこのドラゴン、自分を抹殺しようとそれはしつこく追いかけてくるのである。
そうなるともう理屈抜きで体が動いた。
以降、非力な少年はドラゴンに追い回される事となってしまった。
 
「クソ、一体なんなんだよ!さっきまで普通に学校にいたのに!!」
 
思わず悪態をつくが状況は一片として変わる様子がない。
と、ドラゴンが炎の息を吐き出そうと大きく息を吸った。
 
「ヤバい!」
 
直感的に感じた少年は慌てて近くにあった岩陰に飛び込んだ。
その途端、炎の息が岩に裂かれるようにして少年の横を駆け抜けた。
猛烈な熱風が周囲を包む。
 
やがて息が止まると少年は急いで岩場を離れた。
ちょうどその時、少年が隠れていた岩がドラゴンの太い脚によって粉々に砕け散った。

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