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暗闇。

数メートル先も見渡せず、知らない場所であれば、誰もが歩を進めるのを躊躇うだろう。

それは時に恐怖を煽り、時に安らぎを得る場所。

そんな中、目を覚ます女性が一人。

彼女が顔を上げて辺りを見回すと、目を閉じていたからかすんなり目が暗がりに馴染む。

割れた硝子や放置された什器から、放置された雑居ビルの一室だと推測できた。

先程まで寝てしまっていたからか、自分の今の状況が解らずに呆然とする。

体を動かそうと力を入れてみるも、何かロープの様な物で手足の自由が奪われ、冷たいコンクリートの柱にくくり付けられてるようで、動くこともままならない。

そもそも、自分は何故こんな所に居るのだろう。

さっきまで友達と飲んでいて、時間も時間だし家に帰る途中だったハズだ。

その後、近道の為に公園の林を抜けようと思って足を踏み入れた時に何かが飛び出して来た。

直後に来るであろう衝突の痛みに目を瞑り――それ以降の記憶が抜け落ちている。

記憶を無くす程飲んでもいなかったから、歩いて帰ることにしたのだけれど。

本当にワケが解らない。

誘拐や拉致という言葉が脳裏を掠めるが、まずは落ち着こうと深く深呼吸をしてみると、何とも言えない生臭さが鼻腔を侵食し、彼女は顔をしかめた。

ふと、水音が耳に届く。

まるで屠ったばかりの肉を貪る様に響くそれは、淫靡さすら漂わせているように感じて。

伝線の目立つストッキングに包まれた内股を、所在無さ気に擦り合わせる。

――どうかしてる。

それに、こんな状況なのに冷静な自分は何なのか。

きっと、アルコールで気が大きくなっているのだろう。

そんな自分に戸惑いを覚えつつ、音のする方へ視線を向けると、床へ横たわる人影とその上に覆い被さる人影を捉えた。

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