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「んっ…」
リズムよくトタンの日差しが叩かれる音に、目が覚めた。
部屋に見覚えが無い。AM5:18。時計を見た瞬間、まるで金属バットで殴られたような痛みが頭を襲う。必死に昨日のことを思いだそうとするが、上手く出てこない。それでも暫く考えていると、
「ん…どうしたの?」
女が横で寝ていた。キレイな女だ。シルクのシーツが、まるで二つのなだらかな丘に降り積もった雪の様に、彼女のくびれを包んでいる。
彼女が体を起こして、こちらを覗き込んでいる。
思い出した。
昨日の仕事終わりに、Barに行った。店内はごちゃごちゃしていて、その割りに客は少なかった。マスターと従業員二人でやっていて、暇つぶしに小説片手によく行く店だ。終電も終わった頃に、独りのパンツルックのスーツを着た女が来た。たまたま横に座り、偶然、同じ物を好んで飲んでいたのをきっかけに意気投合した。他愛もない会話を繰り返し、二人で酔いつぶれ、そして二人で寝ていた。名前は確か、アヤノ。後半は酷く断片的だ。
「ここは?」なんだか自分の声じゃないみたいだ。
「私の家。飲み過ぎたかな…。コーヒー飲む?」
首を振る。「もう少し寝る。」
「オヤスミ。」そう言って微笑むと、彼女は優しく抱きしめた。そして、深い眠りに落ちていった。

AM10:47。外はまだ雨が降っているみたいだ。
「おはよう。」彼女はそう言うと、ベッドから降りて、下着を身に付け台所へ行った。
今朝に比べれば幾分、頭痛はマシになっている。携帯を見ると、着信が14件。ヤレヤレ。永瀬 聖美(ナガセ サトミ)。付き合って半年位になる彼女だ。同じ店で働く彼女はホールのリーダー。決して美人ではない、極普通の女の子だ。さて、どうしたものか。
「彼女サンから?いっぱい鳴ってたよ。」
そう言いながら、トーストとサラダ、そしてホットをテーブルに置いている。
「そうらしいな。」
煙草に火をつけて、テーブルに腰掛け、コーヒーを口にする。
「今日はどーするの?」
「適当。君は?」
「仕事休んだし、どうしようかな?どっかに行こっか?」
そう言うと、灰皿にあった煙草をくわえた。
「きついの吸ってるね。」むせて咳こんでいる。
どうせ1日だけだし、こんなのも悪くない。トーストをかじりながら、
「さてと、何処へ行こうか?」

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