近くて遠い50cm

1/15
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

近くて遠い50cm

 僕が彼女を意識し始めたのは、何時だっただろうか?  彼女が、僕に向かって 「ちょっと家まで遠いけど送ってくれる?」  送った時に話した事がきっかけだったのだろうか?  彼女は、1つ年下の19歳になる大学生。話を聞いて初めて知ったのだが、僕と同じ大学の2つ下の学年になる。  僕と彼女の出会いは、バイト先が同じになったことがきっかけになる。  バイト先も同じだし、同じ大学に籍を置いている、話そうと思えば話せる関係にあるし、メールアドレス・電話番号も知っている。  同じ時間を共有する機会は多く存在している。  しかし、僕と彼女の距離は大きく離れている。離れている50kmが、短く感じてしまう位遠い場所に彼女は居る。  僕のこの気持ちを彼女に伝えることが出来ないでいる。この想いを気持ちを、僕の中に閉じ込めておくべきなのかもしれない。  僕は、彼女を近くに感じる、日々を過ごしていた。しかし、そんな日々に僕は満足していたのかもしれない。  想いを伝えることで彼女と時間を共有する権利を失うくらいなら・・・。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!