#10

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 学校が終わり、考え事をしながら健太郎のアパートへと向かった。気づいたらもう、部屋の前だった。ドアホンを鳴らしたが返事はない。  扉が少しだけ開いていることに気づいた。どうして鍵をしていないのだろう?  色々な思いが頭を巡って、判断力が鈍っていた。私はまた、うかつだった。 「健太郎? いないの?」  部屋を見渡すが、健太郎はいない。うろうろしながら、どうしよう、と迷っていたら。  突然、足首をつかまれた。その手はベッドの下のすき間から伸びていた。男の手、なのだろうか。恐怖で声にならなかった。  後ずさりしようとして、尻もちをついた。  何かが闇から飛び出し、覆いかぶさってきた。  首筋に、息がかかる。怖い、そう思った。 「よお、ブス、元気?」 「佐竹?」  佐竹は私の上にのっかったままで、大笑いしていた。  ビビッてやんの、と、バカにして笑っていた。 「何してるの? 冗談はやめて」  佐竹だと分かっても、まだ恐ろしかった。声がうわずってしまう。 「しようよ。仲良くしようよ」 「嫌だ、離して」 「俺、やっぱり美紘が好きだ。健太郎が好きだ。前みたいに三人で仲良くしようよ」  あっという間に、服の中に手を入れられた。体をよじらすと、逃げられないように全身を押しつけられた。 「奥さんと子供はどうするのよ?」     
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