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学校が終わり、考え事をしながら健太郎のアパートへと向かった。気づいたらもう、部屋の前だった。ドアホンを鳴らしたが返事はない。
扉が少しだけ開いていることに気づいた。どうして鍵をしていないのだろう?
色々な思いが頭を巡って、判断力が鈍っていた。私はまた、うかつだった。
「健太郎? いないの?」
部屋を見渡すが、健太郎はいない。うろうろしながら、どうしよう、と迷っていたら。
突然、足首をつかまれた。その手はベッドの下のすき間から伸びていた。男の手、なのだろうか。恐怖で声にならなかった。
後ずさりしようとして、尻もちをついた。
何かが闇から飛び出し、覆いかぶさってきた。
首筋に、息がかかる。怖い、そう思った。
「よお、ブス、元気?」
「佐竹?」
佐竹は私の上にのっかったままで、大笑いしていた。
ビビッてやんの、と、バカにして笑っていた。
「何してるの? 冗談はやめて」
佐竹だと分かっても、まだ恐ろしかった。声がうわずってしまう。
「しようよ。仲良くしようよ」
「嫌だ、離して」
「俺、やっぱり美紘が好きだ。健太郎が好きだ。前みたいに三人で仲良くしようよ」
あっという間に、服の中に手を入れられた。体をよじらすと、逃げられないように全身を押しつけられた。
「奥さんと子供はどうするのよ?」
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