銀色

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「全く、何をやっている。小娘一人にしてやられるなど」  緊張感の無い、落ち着いた声色。  演技には見えないけど、どっちにしても私のやる事は変わらない。 「だが、報告は既に受けている。部屋の外には部下が待機中だ」  そう語るフィクサーが、ゆっくりと四角い何かを持ち上げた。  黒い箱?  ……ああ、通信機ね。 「私を、そしてその男を殺したところで……貴様は終わる」  ハッタリは多分に含まれてると思う。  でもこの落ち着き方───覚悟、してる。 「終わらせる」  これもまたゆっくりと、フィクサーが立ち上がった。 「……何故だ」  腰に帯びた剣の柄に触れながら、険しい視線を扉に向けるフィクサー。 「何故───」 「部屋の外には、誰も待機してないよ」  そんな中、カラムさんが突然の発言。  内容は、中々のモノで。  この場の空気は見事に固まった。 「全くさー、俺としてはこれ以上無いタイミングを狙ってたってのに。手札はギリギリまで伏せとけよな」  そんな事には全く構わず、カラムさんは愚痴をぶち撒けていく。 「最後の最後で開いた札が白紙のゴミだった時とか、最高の表情を浮かべてくれると思ったのに」  ……うん。  色々流すとして、取り敢えず状況が掴めない。  フィクサーが扉に向かって呟いたのは、やっぱり部下が入って来ないから?  なら、本当に待機なんてされて無い?  でもどうして?  フィクサーの様子を見るに、さっき通信して指示を出したんでしょ?  フィクサーじゃないけど、何故……。
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