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すぐ歩いた先には、彼の車があった。
高そうな黒光りした外車に、わたしはますます萎縮する。
彼は さも普通に車に乗り込んだ。
そして、わたしも助手席側に座る。
「あ、あの、助かりました。あなたがいなかったら、きっと行き倒れてるとこでした」
一応 お礼を言ってみた。
「……」
彼は黙って、運転に集中している。
わたしは気まずくなって、車窓とぼんやりにらめっこをした。
ラジオも付けない狭い車内、ただ景色を通り過ぎる音だけが響いていた。
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