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教壇を見たら、坂田は黒板に向かって英語とか言う意味のわからない文字を書いていたから、ヤツは犯人じゃない。
とすると、考えられるのはあいつか。
俺は隣の席に座っている女子を睨んだ。俺は周囲に聞こえないように、小声で喋りかけた。
「カオリ、何すんだよー」
「知らないわよ。エロナオヤ」
カオリが俺の方を見て舌を出す。
「何がエロだ。健全な証拠だっつーの」
高2の健全な男子が、グラウンドを走る女子生徒をちょっといやらしい目で見たぐらいでごちゃごちゃ言うなっての。
カオリは幼馴染みだからって、いちいち俺に口うるさい。勉強しろだの、好き嫌いするなだの、いったい俺の何なんだっての。
腐れ縁なのは間違いないけど、そういうつまんない事は俺の自由にしてほしいものだぜ。
……とにかく犯人はわかった。俺はカオリを軽く睨みながら、今度は俺を襲った凶器を探すことにした。
いざというとき、こういう物証がものを言うのだ。俺がどれだけ深い傷を負ったのかを証明してくれる。
場合によっては幼馴染みとは言え、ただの謝罪で済ますわけにはいかないかもしれない。
頭の中にさっきの体操服の女子生徒が浮かぶ。
なるほど、校舎の窓からじゃなくて、目の前5センチの距離から堂々と見せてもらうって言うのも悪くないな。
よし、出来ればかなり凶悪な凶器であってくれ!
……俺はそんな願いを込めて机の下に潜り込んだ。
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