第8話

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「…円ちゃん」 「ん?」 立ち止まって、円の方を向く龍也。 「笑いなさーい」 傘を首で支えて、両手で円のほっぺをたまむ。 「りゅ、りゅー、くん?」 「…ぷはっ、円ちゃん変な顔ー」 「もうっ、ふふっ」 龍也のおかげで少し吹っ切れた。そのあとはいつものようにふたりで話しながら帰ることができた。 「りゅうくん、ありがとね」 「ん?」 「なんでもない」 えー、何教えてよなんて笑う龍也。 「…あ、」 円の家の近所の公園。そこに立っている立花の姿。 「円先輩っ!」 泣きそうな顔で近づいてくる立花、でも龍也が円の前に立った。 「今更何のようなの」 今までとは違って冷たく吐き捨てる龍也。 「っ、円先輩たちきっと勘違いしてると思ってっ、新太先輩は悪くないんです」 「悪いけど、今は帰ってもらってもいい?」 「でもっ、あれは全部私が悪いんです」 道路の真ん中では目立つと、公園のベンチに移動した。ここは屋根がついているため、傘をたたんだ。 「で?」 円と立花の間に座った龍也が言う。 「…あのとき、新太先輩すごく落ち込んで、少し自棄になっているようでした。それで、きっと誰でも良かったんだと思います。気付いたら新太先輩にキスされてて、避けられなかった私が悪いです」
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