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「この眼鏡に寿命が映るって誰が言ったんだよ」

「売ってた女子高生だよ」

「女子高生? お前、これどうやって手に入れたの」

「フリマだよ。新宿北口公園の」

「そこで女子高生が売ってたのか?」

「本当に女子高生かどうかはわからないけど、外見はそのくらいに見えたんだよ」

「その女なんて言ったんだ」

「自分がいつ死ぬか知りたくありませんかって」

「それで買ったのか」

「いや、最初は買う気なんてなかったよ。頭おかしいんじゃないかって思ったし」

「じゃあ、なんで」

「いきなり、おじさん信じてないでしょって。当たり前だろって行こうとしたら、試しに掛けていいよって言うんだよ。しかも鏡まで出して」

「で、掛けたのか」

「手品かなんかかと思って。余興に使えるかなって思ったんだよ」

「余興?」

「忘年会とか新年会の」

「まあ、これからそういう季節だな、確かに」

「で、掛けて鏡見たら頭の上に3ていう数字が浮かんでたんだよ」

「どんな風に」

加藤の話では、頭の上に白い文字で、3という数字が浮かんでいたらしい。

手で触ろうとしても感触はなく、眼鏡をはずして鏡を見ると数字は消えていたというのだ。

絶対に手品かなんかに決まってると強く主張したが、だったら掛けてみろよ、という言葉にはお茶を濁した。

俺は意外と臆病なのだ。

別れ際、三日後に生きてたら電話しろよな、と冗談を言ったら、加藤は苦笑いしながら去っていった。

肩を落とした後ろ姿を見送りながら、俺は、なにかもっと言うべき台詞があったような気がしたが、それがなんなのかはわからなかった。

三日後、俺は加藤のことをほとんど忘れていた。

加藤が死んだという連絡が来たのは別の幼なじみからだった。

俺は一瞬加藤が自殺したのかと疑った。

寿命が見える眼鏡のことは作り話で、自殺する口実だったのではないかと思ったのだ。

しかし、暴走してきた乗用車にはねられたという事故の状況からそれは考えにくかった。

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