第一章 幽霊タクシー

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   何故、僕らはそこの人、と幕田と菜切が呟く横で、晴比古が言った。 「しかし、ホテルってのは、従業員の出入りが激しいな」  あのおばちゃんも今初めて見たぞ、と言うと、 「そうですねー。  外部スタッフも居ますし。  なかなか」 と志貴が顔をしかめる。  樹海ホテルのように、人数が少なければ楽なのだが。  此処、田舎だが、樹海じゃねえしな……。  というか、車で簡単に郊外のホテルやカフェに行ける昨今、街から離れていることは、あまり問題にならないようで。  今も、若い女性たちがフロントで楽しげに話している。  ランチと入浴がセットになっているプランがあるようだ。  そういえば、定行がばあさんたちとランチに行ったと自慢していたが、彼女らのように、遠くから車で来るOLや、老夫婦も居て、なかなか客も多い。  これは従業員も人数要るよな、と思った。
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