悲喜屋

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またやってしもうた…… 缶ちゃんまで怒らせてもうて、どないしよ…… 後悔ばっかりや…… ウチは喧しいから言う事で、誰も話しかけてくれへん…… 分かってるんや…… ウチは話し出したら止まらん。 止めよ思う気はあるんやけど、口から生まれたみたいで、どうしようもない…… 缶ちゃんはそんなウチの話を聞いてくれとった…… そやのにウチは感謝しとる言うのに、口から出るんは身勝手な言葉。 「愛想尽かされてもしゃあないねんな……」 『アレとて人や。機嫌が良い時もあれば、悪い時もあるやろ』 ビクッとした、父ちゃんの声がしたからや。 父ちゃんはウチに悲喜屋を継がせてどっかに消えてしもうてた。 何千年も前の話やった。 ウチらが常世に来たんはまだ商人與が出来たばかりの頃やったなぁ。 長がおって、缶ちゃんがおって…牡丹姐がおった…… あの頃…… 父ちゃんと一緒に死のう思うて崖から落ちたんや…… そしたら、何故かこないな所に堕ちた。 ありゃ驚いたなぁ…… 天国行ける思うてたのに、堕ちた先がこないな場所やったから…… 「父ちゃん…どないしたらええ?もう缶ちゃんに話聞いて貰われへんのや……」 『謝っとけ。そしたらアレの事や、許してくれるんと違うか?』 声しか聞こえへんけど、父ちゃんは返事をしてくれはった。 「よっしゃ!謝るわ!」 気合い入れたけど、ウチは謝るの苦手やさかい、上手く行くんやろか……?
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