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目を覚ますと、あんなに酷かった心臓の痛みも、焼けるような体の疼きも無くなっていた。
「晃一、大丈夫?」
菜美恵が顔を覗き込む。
「うん。もう平気…。少しだるいくらい」
「そう、よかった」
「…あのさ、おれの体の症状って…。好恵さんが薬を使ったって言ってたけど、何か関係あるんだよね?」
菜美恵は一瞬息を飲むと、決意したように話し始めた。
「あなたの体に入れた薬は、この研究所で出来た薬。正確には、研究の途中で偶然で出来た薬なの…」
「それって…」
「…この研究所では、蘇りの研究をしていたの。死んだ人を生き返らせる研究をね…」
「…父さんがその研究を…?」
「ええ…。それでね、出来た試薬をマウスに与えたのよ。その時マウスの2/3が死んで、1/3が生き残った。生き残ったマウスたちは元々体に怪我をしていたり、弱っていた個体だった。でも薬を与えた後、怪我が治っていた。弱っていた個体も元気になっていたの…」
「…そ、それがおれに投与された薬? な、なんかすごいね。万能薬じゃん。おれ、死にかけてたんでしょ? 」
晃一が、興奮したように話すと、菜美恵は難しい顔をして呟いた。
「…この薬には、重大な副作用がある」
「副作用?」
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