ハローワーク

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ハローワークの職員が忙しなく業務をこなす中、仕事を求めて多くの人々が後を絶たない。「加藤さーん、求人の更新お願い!」竹本はそう叫ぶと相談窓口へ向かった。「はい、座って下さい。今日は申し込みですか?」竹本が尋ねると若者は腰を降ろしゆっくりと話し始めた。「聞いてくださいよ、こないだ受けた企業ね3社とも採否の連絡がめちゃくちゃですよ。前向建設なんかは3週間返事待たされた挙句に不採用ってどうなってるんですか!ダメならダメって早く返事くれないとこっちも困るんですよね」若者は日頃の企業の態度に苛立ちが募っていた。「それは酷いね。今そういうの多いんですよ。前向建設さんね~、だけど1人の採用枠に300人も応募来てるから無理もないかもね。今日はどこか申し込みされますか?」若者は手に持っていた求人表をデスクの上にだした。「左寄制作所さんね~今データ見てみます。」竹本は情報を確認すべくパソコンに向かった。「え~今60人の方が応募されて23人の方が結果待ちですね~書類選考になってますからとりあえず連絡だけしておきますね」そう言うと若者の履歴書と求人表をデスクに置き受話器を取った。竹本にとっては早くこの若者達が職についてくれたらという思いが人一倍強かった。「もしもし~左寄制作所さんですか?ハローワークの竹本と申します~担当者お願いします。お世話になります~求人の応募者が来ておられます~星野未来さんという男性の方で、年齢が23歳の方です。紹介状と書類を送らせていただきますので、ヨロシクです~。」そういうと竹本は受話器を置き星野と向き合った。「今紹介状作るからね。」そういうと竹本は席を立った。星野はまたもや応募者数の多さに愕然としていた。星野は高校を出てから一度は都会の企業に就職したが田舎が恋しくなり3ヶ月で会社を退社し、それからは田舎のレストランでアルバイトを続けてきた。いわゆるフリーターであった。しかし景気の悪化に伴い2ヶ月前にそのレストランも倒産してしまった。それから星野のハローワーク通いが始まった。
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