第三章「異形への誘い」

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第三章「異形への誘い」

衝撃的な風景ばかり見せられ、春江の疲労はピークに達していた。 幽体なのに、どうして疲労があるのか不思議に思う春江だったが、その真相は、精神の状態が直接影響するためだった。 精神的なダメージが肉体的なダメージとして実感されるのである。 それを察した仁木は、気分転換をするために、海岸に向かった。 春江は、庄次郎とよく森の中の湖には来ていたが、海は滅多に来なかった。 死後の生活は厳しいものだと、過酷な現実ばかりつきつけられて、打ちのめされていた春江にとって、仁木の提案はとてもうれしいものだった。 「……海は……広いな……大きいな」
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