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光がジッとカップ麺を見つめるなか、大和がカップ麺を手に取る。
彼は既に、無知な光へ悪質な悪戯を思い付いていた。
「もういい頃だ」
「も、もうよろしいのですか!? わたくしの時計では、まだ2分40秒ほど。ドイツ製の時計故、狂っていることは無いはずですが……」
光はローマ数字で表された、金の時計盤を見せる。
「狂っているのはお前の脳だ。少し早めに食うのがいいんだ」
大和はそう言って、予め持ち寄った割り箸を手に取る。
「し、承知しました。あ、箸が普通なのですか? フォークとナイフをご用意しなくてよろしいですか!? 西洋式でなくていいのですね!?」
「お前さっき茶道を取り入れてたろ。何さり気無く自分をフォローしてんだ。箸だ」
大和はおもむろに、光のカップ麺を食べ始めた。
「や、大和さま、一体何を……?」
薄い唇で麺を鳴らし、一瞬にしてカップ麺を平らげる大和。
「男が先に麺を食うのが普通なのだ。大学で習わなかったか?」
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