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先程よりも僅かに穏やかな寝顔にフッと笑い、飛び出た手を蒲団へ戻そうとソッと掴む。
白く…細い腕。
こんな細腕で結構な力仕事やら…頑張ってたんだな。
『…』
そのまま小さな手を見ると、水仕事で荒れた少し痛々しい姿。
その手をやんわりと包み込むと込み上げるのは、愛しい気持ちと罪悪感。
…やはりもう少し平隊士に仕事手伝わせるか。
莉亜に話し掛けられるのは癪に障るが。
キツイ仕事量を思い浮かべて、己の異様な独占欲に蓋をし。
ふと気付くと包み込んでいた莉亜の手が開き、俺の手…と言うか、指を数本握り締める。
『ッ!』
その行動に胸がギュオッとなり、同時に顔がだらしなく崩れたのが分かった。
『ちょ…待…ッ…』
…………かっ
……可愛過ぎるだろ!!!
堪んねぇッ!!!!!!
『ッハ~…』
あ~駄目だ駄目だ。
顔が緩んで止まらねぇ…
空いてる方の手で口元を覆い、一人悶絶。
暫し波を乗り越えるのに徹した後、口元を覆っていた手を外し莉亜の髪を撫で付けた。
一体どうして…
こんなにも愛しいと思うのか…
何故こんなにも好きになったのか…未だに分からねぇ…が…
惹かれて惹かれて仕方ねぇ。
『…』
撫でる手を止めて顔の輪郭に添う様に指を滑らせた後、唇をなぞり…瞳を閉ざしたままの莉亜の顔をジッと見つめる。
いっそ、滅茶苦茶に壊しちまいたいと駆け巡る欲望と…壊したくないと踏み留まる理性…
…我が儘なんだろうか。
だが……組もお前も。
必ず…俺は。
惹かれるまま、莉亜の頬にソッと唇を寄せた。
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