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蛇はアスカの身体中を這った。一匹の蛇は、アスカのショーツの奥にまで忍び込んでいる。アスカはされるがまま、目を瞑った。
「……何て言うと思ったか? 楽に、石になどさせない。
お前を弄り、たくさんの痛みを知ってもらう。勉強が終わったら、石にして砕く。
なあ、アスカ。お前は頭がいいのだろう? なら、このクラウドの疑問に答えてくれよ」
クラウドの言葉の内容は残酷で支離滅裂だが、その声色は凛としていて、加えてその韻は洗練され、学と聡明さを感じさせた。
「善を孕んで死んだ罪人の魂はどこに行く?」
……それはクラウドが生きたかった生き方を表していた。
彼女は善悪の判断が出来るだけの学を、過去老人に与えられた。
もしも、ただ森に捨てられ、自然のなかで生きることになれば、メドゥーサの眷属である彼女は、言葉も哲学も知らず、本能の赴くまま他を食い、防衛のために命を石に変えるだけの存在だった。
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