二人目

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「はっはっは、そうだろうそうだろう。見直しただろ?」 胸を張って満足そうに高笑いしてる。 事実、俺もミスティも感嘆の息しか出てこなかった。 近くまで行って見てみると、人の胸の辺りまである水晶の柱の中にトーグルが閉じ込められている。 まるでひとつの芸術作品のようだ。 「おお……、すげぇ。これ水晶?だよな?」 試しに小突いてみるとカッチカチだった。 「ああ、そうだ。でも基本的には天力の塊みたいなもんだから売り物にゃならねーぞ」 そんなこと考えてないよ。 「これもすごいけど、長距離の気配を察知するのもすごいな」 「たしかにね。広範囲に放術を展開する実力に、おそらく圏術なんでしょうけど、これもかなりの範囲に広げられてる。見かけによらず腕は一流みたいね」 腕を組んでウンウンと頷きながらそこはかとなくやや毒舌なミスティ。 「ガラル、これって何の属性なの?」 振り返り、上機嫌なガラルに問いかける。 「まぁこの際だ、二人には俺の秘密ってのを教えてやろう」 言いながら水晶に近付き、水晶に手を置いて少し力を込めるようにすると、パキンという心地のいい音とともに水晶は割れ、破片が粉々になったかと思うとたちまち光の粒子となって掻き消えた。 そして残ったのはピクリとも動かないトーグルのみ。 「俺が主として持っている属性は『空』。そして俺は……」 一旦言葉を区切り、トーグルを持ち上げる。 「二属性持ちだ」 そう言うガラルの蒼い瞳が神秘的に見えた。 アレアロへの帰路、三頭の馬の背にそれぞれが揺られながら、ガラルからその力について教えてもらった。 彼の持つ属性は『空』と『水』だそうだ。 どちらも他人の怪我などを癒す力を持つ属性であり、また天力の扱いに長けている属性。 「あれは圏術の応用さ。基本、圏術ってのは球体だろう?それだと無駄な、必要のない範囲まで力を使っていることになる。それをな、こう、触手みたいに必要な部分だけを伸ばすことで距離を伸ばすことができるんだよ。その分全方位を探ることができなくなっちまうがな」 つまり、全方位に球体を広げていく圏術ではなく、一方向に伸ばしていくようにするということか。 修行次第で誰しもそんなことが可能なのか、それとも空と水の属性を併せ持つ類稀なる才能を持つガラルならではなのか。
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