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「じゃあそこに、木造建築の場所はありませんか?」
「あるよ、それが一体...」
すると監督役も彼の考えを察した。
「木造建築があるなら、木を切断するチェーンソーの様な物ぐらいあってもおかしくないはずです」
「...確かにチェーンソーはあるし赤木啓介もそこの担当だった、しかしバイトにそんなもの扱わせない」
「それでも、使ってる人の行動を見たら動かす事ぐらいはできると思います」
前日の作業が終了した後に、こっそりチェーンソーを持ってきて鉄骨を支えるワイヤーに工作した。
恐らくワイヤー点検をした後に工作したことだろうと達也は推測する。
「鉄骨を上げる前にもう一度点検しないのですか?」
それに続く様に由香里が質問する。
「まあ前日に点検したし夜間には警備員も居るから、案外適当に済ませている奴等が多かったかもな...」
犯人は僅かな警備の欠点と点検作業の不備を突いてきたのだろう。
「取り敢えず、私はもう一度現場を再調査する」
そう言って刑事は現場に向かった。
「それじゃあ私達もこれで失礼します」
「おう、何か聞きたい事があるならまた来てくれ」
由香里達も工事現場を後にした。
「もう良かったのか?」
「これ以上聞くことも無いし、警察の邪魔したらいけないだろうから」
監督役からの話で分かった事は二つ。
犯人は頭が良いこと
そして私達と同じ年の可能性が高く、推論の推論であるが...
私達のクラスに犯人がいる可能性があること____
「それで、これからどうするの?」
「どうするって、犯人を捜すに決まってるだろ」
すると由香里は大きくため息を着いた。
「無理ね」
「ええ!?そんなあっさり!?」
「犯人は偽名を使っている、顔の詳細も不明。これじゃあ身元を特定できないよ」
入念過ぎる、大倉君殺害の指揮をしていたなら並行的に作業していた事になる。
これだけの事を成功しようとすると膨大な情報を所持できて、秀才なる頭脳を持ち、冷酷な行動力を持ち合わせる者が犯人だろう。
「ま、どうしても特定したいなら荒木君にでも頼めば?勿論料金は賀谷野君持ちだけど」
「...うん、それしか無さそうだ」
多分警察も動いている、犯人が捕まるのは時間の問題なのかもしれない。
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