別れの日

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別れの日

   社会人、23歳の春。おばあちゃんと一緒に暮らし始めてから、5年もの月日がたった。  縁側に座り外の景色を眺めながら、私はこの家での様々な思い出を、ゆっくり時間をかけて振り返っていた。  ひとしきり振り返り終えたところで縁側を離れ、仏壇の前に正座して、りんを鳴らす。 「おじいちゃん、今日までお世話になりました」  おじいちゃんは相変わらず、穏やかにほほ笑んでいる。
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