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「石田さん 宇野さん 江口さん――」
名前を呼ばれ、次々にスマホを手に取るクラスメイト。
私は席に戻ってすぐ、電源を入れた。何気なくアドレス帳を開くと……。
「ぇ!? これって」
すかさず、担任が補足を付け加える。
「気付いた人もいると思うけど、学年みんなの連絡先が登録してありまーす」
そう。
全校生徒の携帯は、“番号交換=友達”という通例の垣根がすでに取り払われていた。
「皆が聖光学園という輪の中の1人であって、決して孤独ではない。そういう自覚とゆとりを持って、これから色んなことを一緒に学んでいきましょう!」
さすがに動揺を隠せない生徒たち。
事前に保護者には説明されていたのか、牙を剥くモンスターは現れなかった。
その時、
──ピリリリリッ♪
「ん? もう鳴るなんて人気者ですね」
「「ハハハハッ――」」
「‥‥す、すみません!」
私の携帯からけたたましい着信音が流れ、慌てて音を消す操作をした。
「このように、授業中は電源を切っておくように!」
「「ハハハハッ──」」
またも嘲笑の的。かつ、とんだ晒し者。
耳が熱くなっていくのを感じながら、引き出しの下に携帯を隠し、送られてきたメールを開く。
「ゆうくん?」
彼からのショートメール。 一瞬、胸が踊った。
の、だが──。
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