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きっと義兄が、体を張って盗賊から姉を守ってくれたに違いない。
容易に、義兄がその背に姉を隠し、それでも、多勢に無勢ではなすすべがなかったのだろう。
扶の無念や、姉の恐怖にふるえる顔が目に浮かび、公雅の胸はぎりぎりと締め付けられた。
(それにしても……信じられない)
本当にあの藤乃が姉を裏切っていたというのだろうか。
あの、姉が人生のすべてだ、と全身全霊で訴えている女官が!
だが、そう簡単に、警備の目をかいくぐり、多くの女官に気付かれることなく、姉の部屋へ忍び込むことができるだろうか。
その上、乱闘の末に姉を拉致していくなど、不可能だ。
確かに内通者がいれば、話は別だが……。
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