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「ほら十蔵、やっぱり夏樹さんだよ」
こいこいっと木に向かって才蔵が手招きをすると、またバッと目の前に忍装束を来た人が現れた。
「あ~れ~ほんとだ、格好が違うから気付かなかったなぁ」
「十蔵くん!」
才蔵よりも背が高く、たれ目をしている忍装束の男は忍隊の一人、筧十蔵だ。
手先が器用で、特に裁縫は達人の域に入っている。
夏樹も良く服作って貰ってた。
「んで、こちらさんは誰なの?」
十蔵の目が志絆に移る。
志絆に対してはまだかなり警戒心が強い様子だ。
「才蔵くん十蔵くん、こっちはユウちゃんのお兄さんで志絆さんです」
夏樹が志絆のことを紹介すると、驚いた様子で声を上げた。
「凪さんのお兄さん!?」
「へぇ~、凪さんに兄貴がいたんだぁ」
二人はそれぞれ志絆に軽く会釈をした。
自分を見る目が”凪の兄“というだけで和らいだことに志絆は、この世界での凪の存在の大きさを改めて感じた。
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