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何と言うか、ログは厄介だ。
改めて、強調して、もう一度言う。
非常に厄介だ。
私は心の中で溜め息を吐き、そしてログから周囲へ視線を向け直す。
「近付いただけでここまで強引な手段を取るとは、余程疚(やま)しい事があるのですね」
或いは、ただ杜撰(ずさん)と貶すべきか。
何(いず)れにせよ、障害となるなら排除するのみ。
「サザランドの青星(シリウス)に戦乙女(ヴァルキリー)まで来たとあっちゃあ、そうで無くともこうするさ」
筆頭に立っていた銀ナイフの男が、そう言った。
………。
違うッ!
「ユウキ殿をこの男と───」
「成る程。こちらの顔はこんな遠くにまで知れ渡っている訳か」
わざとらしく、ログは私の声に被せてきた。
「話を合わせろ」と言わんばかりに。
「……ハッ。特徴がたまたま似てるだけかとも思ったが、本物か。カマ掛けて正解だったな」
相手も相手で、そのまま信じてしまっているし。
……と思ったら、ログが自身の左手に、これ見よがしに青い炎を実現させていた。
相手は信じさせられただけか。
「そう思うなら、素直に道を開けろ。無駄に被害を出すのは、そちらとしても避けたい筈だ」
かなり強引ではあるものの、確かに本物のユウキ殿でも言いそうな台詞。
「それに、こちらも危害を加えにきた訳では無いんだ。問答無用で先に攻撃を仕掛けられた事は、今ならまだ水に流しても良い。だから、まずは話し合いの場を設けるのが、得策ではないかな?」
まるでこの展開が最初から分かっていたかの様な、淀みが無さ過ぎるログの言葉。
……今は、このまま乗せられていた方が良さそうだ。
ログの目的を探れるかも知れない。
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