1・hollyhock・hillってなんぞ?

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やはりアホウを調教、もとい適度な教育的指導を施すには、わかりやすい方法が効果的なのかもしらんね。 この調子で、俺をBL妄想のネタにするのも止められたらいいんだが。 「それは譲れん!鬼畜眼鏡攻めはオレにとって永遠のロマンだからな!」 誰が鬼畜眼鏡か。 確かに俺は眼鏡だが、鬼畜でもホモでもないぞ。俺はただの平凡顔の文系男子だ。それを鬼畜だドSだと、好き勝手言いやがってこのやろう。……受け扱いされるよりはなんぼかマシか。五十歩百歩だが。 「まあ、それについては長くなるからあとでジックリ話そうか。むしろ目覚めようか、……オレの萌えのために!」 やめんか。そっちの話はいらんし、目覚める予定も今後一切まったくない! 「チッ。……じゃあゲームのほうに話を戻すが、hollyhock・hillってお前、なんかピンとこないか?」 「ん。まぁ……そうだな」 あまりに、あからさまだからな。 「うん。まぁ、いまはそこに疑問を持ってくれてたら、それだけでいいよ。──そして次に、この名前をウェブで検索したとしても、バーチャルネットのどこからも、そんなゲームは引っ掛からない」 「……どういうことだ?」 当初、遊馬は俺がhollyhock・hillを知らないことがまずおかしいと、そんなふうなことを言っていたはずだ。 俺は一般的な同年代の高校生と比べると、バーチャルネットをあまり使いこなしているとは言い難い。 だから俺がダイブ機能を使用するのは授業のときや、情報収集の必要にどうしても迫られたときに限定されがちだ。さっきの支払いも、実質はダイブ機能は使わずに携帯端末からサインフレームを呼び出して処理したしな。 特に葵陵学園は、校内システムにゲートを導入したテストケースとしても有名だから、そこらへんの設備はかなりいいほうらしい。 ゲートを使いこなせれば、こんな居心地のいい場所はないのに、とクラスの友人連中は口を揃えて言うのだが。……こればかりは、なぁ。 苦手、なんだよ。 アナザーゲート自体が。 況んや、ゲートを使って電脳世界へと完全に潜らなければ出来ないバーチャルネットワークを駆使したオンラインゲームとなれば殊更……な。 それはもう、遊馬もわかってるはず、だよな?
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