9章 尊厳という名の抵抗

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「さぁ。ミキの件はこれで終わり。じゃあ質問の続きをしようか……ナオヤ。もう一度聞くけど、俺の何を止めるつもりなの?」  質問の意味はわかってるつもりだ。  要するに、俺がどこまで知っているかを試そうとしている。  木之本を相手にしてきたせいか、こうやって探られるのに慣れちまったのは、嬉しいやら、悲しいやら。  とにかく、これぐらいではちっともビビらない程度までは鍛えられたかな。 「キョウヤの考えは、モバイルゴーストをそこに閉じ込めるつもりなんだろ?」  俺の指差す先には、キョウヤのポケット。  そこからは、今までキョウヤが持っているの何て見たことがない、真っ赤な携帯電話が顔を出していた。 「閉じ込めるって……どうやるのさ?」 「簡単なことだったんだよな。モバイルゴーストは最後に連絡した相手に乗り移る……だったら、何も登録してない携帯電話に移せばその先はないってわけだ」  これが、キョウヤがわざわざ別の携帯電話を用意した理由。  電話帳や履歴に何も残る心配がない、完璧まっさらな携帯電話に引き寄せる。  だけど……最悪、自分が犠牲になるかもしれないっていうリスクがあるから、全うなヤツなら誰も試そうとはしない作戦だ。  だけど、キョウヤはそれを選択した。恐らく、最も手っ取り早くて効率の良い作戦だって考えたんだろう。  いかにも……キョウヤらしい作戦なのかもしれない。 「ナオヤ、お見事だね……その通りだよ」
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