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離れた遥人は少し迷ったあとで、那智を抱きしめてくる。
そのまま、遥人の胸にすがっていると、無性に泣きたくなってきた。
嬉しかったからかもしれないし、この先に訪れるだろうものが恐ろしかったからかもしれない。
しばらくして、那智は口を開いた。
「この夜景、見せてくれたかったんですか?」
部屋では駄目だと言った遥人の言葉を思い出しながら、そう訊く。
「いや、それもあるが。
家の中ではちょっと。
その先のことまでしてしまいそうだったから。
外でなら、と思ったんだが。
……かえって気分が盛り上がってしまった気もしている」
大真面目にそう言ってくるので、笑ってしまった。
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