五 京都、実質三泊二日の弾丸旅行

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 楼門正面に辿り着くと右側に立派な石碑があり、八坂神社と書かれていた。  人はやはりまだ少なかった。無言のまま楼門をくぐる。左手に手水舎があり、手と口を清めて参道を行く。  参道は右に折れ曲がっている。鳥居をくぐりぐるりと周回して本殿へと向かう。道の脇には露店が並んでいるがまだ営業前だ。  途中左側に縁結びの神という立て札があり、興味を惹かれる。主祭神に縁の神々を祀る末社だ。 (大国主命、かあ)  立て札に目が行く。たしか因幡の白兎の神話の神様だ。もっと詳しい説明がほしいなと思ったけれど、本題に集中しているのか、瑛太は全く反応することなくずんずん先へと進んでしまう。 (瑛太ってそういうの興味ないのかなあ)  薫も大概疎い方だけれど、瑛太は更に上を行く気がする。そんな考えが頭をかすめるが、名前探しが終わるまでは浮かれていてはいけないと薫は自分に言い聞かせる。  もしここで解決すれば、あとの日程はすべて観光に充てられるのだから。今は名前探しに集中しようと肝に銘じた。
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