2. 夢を叶える道具

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退勤時間が近付くと月子はチェックイン後の商品の動きに気を使い補充を行った。 明日は公休なのでマネージャーの関口に引継ぎをした。そして担当のファイルを閉じてショップを後にした。 通りすがりにカフェを見渡すと西原さんがいて、ディナータイムに備えてテーブルを組み替えている。 それを手伝おうと小柄で色白な女性スタッフが西原さんに近付いた。 西原さんは彼女を見つけると他では見せないようなゆるやかな表情をした。 『見つけてしまいましたね。』 振り返るとナビゲーターで案内をするために腰掛けていた近藤さんがこちらを見ていた。 『お疲れさま、です。』 月子は何も言わないでおいた。 知りすぎると苦しくなる事もあると大人になってから色々学んだからだ。 『これを。』 近藤さんはいたって自然に、業務を行っているかのように月子にメモを渡した。 それを受け取った月子はナビゲーターの後ろ側の扉を開け、地下へと続く階段を降りた。
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