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光が放たれた瞬間、ハロウはフェニックスに向かってファングを飛ばしていた。球体バリアを発生させた際の勢いを利用したものだ。
アウトサイドスカートに付属されたクナイ状の刃物で、決して千切れない〝糸〟と繋がっている。
アウトサイドスカートに縁した存在は、その防御下に置かれる。刃を結べば、それは破壊不可能の金剛と化した。
しかし牙は呆気なくフェニックスの手に阻まれてしまう。
ところがフェニックスはその糸を掴むと、自身の喉の辺りに押し付けた。
それによって〝彼女〟の声が聞こえたのだ。
フェニックスは「絶対零度」と呟き、こう続けた。
「だが熱に限界は無いとされている」
「あんた……女……てことは、やっぱり、誰か子どもの……ママ……なのか?」
いもいもくんの声にも、フェニックスは構わず自分の弁を続ける。
「ビックバンの熱に匹敵すると言われたことがある。100兆℃なのか1000兆℃なのか……私にも、この『フラッシュ』の威力はわからない」
けど。
「放った瞬間、全てが影になる」
光の中で聞こえる声に、ハロウはある混乱を抱いていた。
「……この声、どこかで」
聞き覚えのある声。身近で、何度も聞いたことがある声だ。
しかし、事態は彼の疑問を許さなかった。
「み、見ろ!」
いもいもくんが慌ててハロウを呼んだ。彼はハロウの胸の内側にいたが、内側にいてもわかることがあった。
ハロウがスカートの裾を見る。
「アウトサイドスカートが、やっぱ、白くなってる……!!」
熱線の中、青海のようなブルーが、紙が焦げるようにして、ジワジワと白くなっていたのだ。
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