第九話 紅蓮艦隊

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光が放たれた瞬間、ハロウはフェニックスに向かってファングを飛ばしていた。球体バリアを発生させた際の勢いを利用したものだ。 アウトサイドスカートに付属されたクナイ状の刃物で、決して千切れない〝糸〟と繋がっている。 アウトサイドスカートに縁した存在は、その防御下に置かれる。刃を結べば、それは破壊不可能の金剛と化した。 しかし牙は呆気なくフェニックスの手に阻まれてしまう。 ところがフェニックスはその糸を掴むと、自身の喉の辺りに押し付けた。 それによって〝彼女〟の声が聞こえたのだ。 フェニックスは「絶対零度」と呟き、こう続けた。 「だが熱に限界は無いとされている」 「あんた……女……てことは、やっぱり、誰か子どもの……ママ……なのか?」 いもいもくんの声にも、フェニックスは構わず自分の弁を続ける。 「ビックバンの熱に匹敵すると言われたことがある。100兆℃なのか1000兆℃なのか……私にも、この『フラッシュ』の威力はわからない」 けど。 「放った瞬間、全てが影になる」 光の中で聞こえる声に、ハロウはある混乱を抱いていた。 「……この声、どこかで」 聞き覚えのある声。身近で、何度も聞いたことがある声だ。 しかし、事態は彼の疑問を許さなかった。 「み、見ろ!」 いもいもくんが慌ててハロウを呼んだ。彼はハロウの胸の内側にいたが、内側にいてもわかることがあった。 ハロウがスカートの裾を見る。 「アウトサイドスカートが、やっぱ、白くなってる……!!」 熱線の中、青海のようなブルーが、紙が焦げるようにして、ジワジワと白くなっていたのだ。  
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