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アンファンの力
アンファン子ども30名。
代表にツボネ。
マヴァイス国からは、ディバル騎士団学校に通う6歳の生徒が60名。
代表にデルダ。
年齢制限がないからではあろうが、あえて一つ上の年齢で、しかも人数を倍、というところがまたいやらしい。
勝つ気満々なのが透けて見えるどころか、アンファンの本業に対し恥をかかせようという気がミエミエだった。
だが、ツボネは人数と年齢に絶望したり取り乱すことはなく、楽しそうに不適に微笑む。
「……たっぷり、後悔させてあげましょう」
子どもたちもワクワク顔で「楽しみだねー」「絶対勝とうね!」と口々に励まし合っていた。
「さて、参加者が出そろったようなので競技の説明に移りましょう。競技は子どもが参加ということなので今までの競技の様に危険は一切ありません!」
マレーヴェの言葉に、タイタンがカルネから受けた鉄拳の傷具合を見ていたカンクとナーシェは「危険て言った」と同時に思い、医療組として一切参加しないことにしてよかったと改めて思った。
「競技は宝さがし! 実はこの闘技場の地面のどこかにこの宝石が埋められています」
そういってマレーヴェが取り出したのは、翡翠色に輝く、子どもの掌ぐらいの大きさの宝石だった。
「この宝石が合計101個埋めてあります。100だと同点になりかねないのでこの中途半端な数にしました。この宝を多く見つけた方を勝ちとします。浅く埋められているのもあれば、深く埋められているものもあります。道具を使うも魔法を使うも、技やスキルなんでもあり! 自分の持っている力全てを使ってたくさん探し当ててください。それでは、スタート!」
マレーヴェの掛け声と共に子どもたちは闘技場内を駆けだした。
とくにディバル騎士団学校に通う子たちは早く、まるで宝石がどこかにあるのかわかっているかのように動き、止まると魔法や道具を使って掘り出した。
その様子を見てツボネはやはり、と思う。
何が技やスキルを全て使って、だ。
恐らく敵の子どもたちはあらかじめどこに埋められているのか教えられているのだろう。
もしくは、埋めた場所を記している地図を渡しているか、だ。
先ほどから収納魔法を出しては消す子どもが多いところから、後者の方が近いように見えた。
「なら、正しい力の使い方というのを教えて差し上げましょう」
ツボネはにやりと笑み。
魔法を発動した。
「痕跡鑑定、捜索モード。羅針盤」
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