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一講目の授業が終わるとすぐに綾は食べ物にたかる蟻のように私に近寄ってきた。 「ねぇB組行かない?」 綾は目を光らせながら今にも教室を出ていく勢いで私に言った。 こう言われると私に残された選択肢は「いいよ」と言うこと以外ない。 そうして重い足取りでB組へとむかっていった。 彼女は自分が知っている高崎についての情報を事細かに私に説明していたが、私は聞いているふりをして聞き流していた。 B組につくと綾はもう待ちきれないといった感じで私の目を見てきた。 仕方なく顔見知りの冬真という男に話しかけた。 「悪いんだけど、高崎って人に聞きたいことあるから連れてきてもらえないかな?」 冬真は面倒くさそうにしぶしぶ「いいよ」というと「高崎」を探しにいった。 私だって好きでこんなことやってるわけじゃないんだよというのが本音だったが、そんなことは口が裂けても言えない。 冬真が話しかけた男を見て初めて「高崎」という男がわかった。 しかしそれと同時に絶句してしまった。 その男の格好があまりにも酷かったのだ。 とりあえずそれが私と高崎との出逢いになるのだった。
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