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麗の、あの一言により当然のごとく教室全体にいる野郎共の殺気が確実に裕太へと向けられているわけで。
それは以前の廊下事件より鋭いもので。
麗、いくら可愛いとしても、これは虐めなんだよ?
「伊吹さんも冗談好きだな~…………はは……ハァ。」
もう冷や汗と一緒に涙が出てくるんだけど………。
グズッもうお嫁にいけない!
何やってんだろな俺。
「ゆぅ……麗だからね……。」
俺が感傷に浸っていたら、また軽く傷を抉ってくるんだよ……可愛いんだけどね。
「この先は飯でも食べながら話そうか。」
俺は周囲の野郎共に営業スマイルを渾身の力を乗せて放ち、教室をエスケープした。
もちろん俺の後に麗は着いてきているわけで、
「ゆぅ……元気ない。」
心配そうに俺の顔色を伺ってくる麗は可愛いけど、
麗には心配かけたくなかったな。
「あぁ?俺はいつもより元気だっての、今ならモスラ辺りなら余裕だぜ?」
無意味に元気に言っては見たが、
もう自分でも何を言っているのかすら分からん………。
それから図書室に着く頃には、まだましになったんじゃないか?
でも流石に焦るぞまったく。
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