高瀬 優姫

私はよく父と手を繋いで、 夕空の下を散歩した。 「あれ、蝶々に似てるよ。」 私が目に留まった雲を指差すと、 父は空を見上げて 「あっちはお花かな?」 と、笑って言ってくれた。 大きな手と、大きな温もり。 数えきれない 言葉を交わして、 愛に包まれて 笑顔を覚えた。 「ねぇママ、あれ蝶々さんだよ。」 「本当だ……綺麗だね。」 今の私が父に教わった笑顔を 向けるのは、父の面影を持つ 私の小さな宝物。 あの頃のように手を繋いで 夕空を見ながら歩く。 小さい手に、溢れる気持ち。 さて、これからどんな言葉を交わし、 君に愛してると伝えようか。 私は貴方のように上手に 愛せるでしょうか? そして、この子も私のように 想い続けてくれるでしょうか? 私は貴方の子供で幸せであったと……
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